株式会社 風土のスタッフブログです。
風土スタッフの日々や、野菜に関する記事を記録していきます。
株式会社風土ではかぼちゃの収穫が始まりましたので、
このブログの最初の投稿はかぼちゃについて書いてみたいと思います。
かぼちゃを栽培するにあたって最も重要なことは、おいしいことです。
ではどんなかぼちゃがおいしいのでしょうか。
バジリコ株式会社が出版している『おいしい野菜の見分け方』を見てみましょう。
- 花尻と軸が大きくて、ぷっくりしたものを
- 軸がへしゃげている方がいい
- 表面が、つやつやしている方を選んでください
著者の徳岡邦夫氏は、京都吉兆嵐山本店の総料理長、もう一人の著者の
西村和雄氏は、有機栽培の指導を行っている、いわばお二人ともプロ中のプロです。
幻冬舎が出版している『野菜のソムリエ「ベジフルキッチン」』でも
おいしいかぼちゃの見分け方はほぼ同じです。
- 皮が非常にかたく、重い
- ヘタの切り口が乾いていて、コルク状になっている
- ヘタの周辺がへこんでいるものは良品
- カットしてあるものは、果肉の色が濃く、ぎっしり詰まっている
- 種が太って、丸いもの
こちらも著者は日本ベジタブル&フルーツマイスター協会ですから、プロ中のプロです。
株式会社風土も栽培においてはプロですから、作り手の視点から掘り下げてみます。
2冊の本を総合すると、だいたい下記のような項目になります。
順に見ていきます。
軸の写真を見てみましょう。
左のかぼちゃの方が軸が大きいですね。
軸が大きいかぼちゃは、かぼちゃの株そのものを大きく健全に育てることと、かぼちゃを本ヅルに着果させることで実現可能です。
株そのものを大きく健全にするには、畑作りが重要です。
特に根の環境を整えてあげることと、元肥の施し方でだいたい決まります。
あとは、ネコブセンチュウとアブラムシにやられないようにしたり、うどんこ病にならないような環境を作ってあげることです。
また、かぼちゃを本ヅルに着果させるには、子ヅルや脇芽を摘芯し、本ヅルに雌花が咲く頃に確実に受粉させる必要があります。
風土は本ヅルを1本出しに仕立てますので、誤って子ヅルに着果することはありません。
軸の周りを見てみましょう。
左のかぼちゃの方がへしゃげています。
右のかぼちゃは軸の周りがへしゃげていませんし、形もいびつですね。
これは、受粉を確実に行えたかどうかの違いです。
かぼちゃの雄花は早朝に開花し、花粉を多く出します。
午前中の、それも早い時間帯に雄花の花粉を雌花のめしべにつけてあげます。
この時、たっぷりつけてあげないと受粉不良となり変形果になってしまいます。
今年はハチがあまりいなかったので人工授粉を行いましたが、この作業の精度が高いと形が良くなります。
また、何といっても形を良くするには健全に育ててあげることが重要です。
健全な状態にできて受粉が成功すると、形も丸くなり下から見ると左右対称になります。
すごいでしょう↓
収穫直後に軸を短く切り落としますが、驚くほどの水分が出てきます。
2.5kgのかぼちゃを収穫して、2週間の風乾を行うと80~100gもの水分が無くなります。
水分が少なくなると、自動的に糖度は上がります。
乾いているということは、この風乾を行ったということです。
(風乾して糖度を上げることを追熟といいます)
また、軸の側面がコルク状になっているということは、完熟してから収穫したカボチャであるということです。
完熟については5)以降で触れます。
かぼちゃの株自体を健全に育てることで、養分吸収を良くできるようにしたり、
ミネラル分が土壌にしっかりとあることで表面のツヤが良くなるようです。
また、着果した時のかぼちゃは非常に柔らかくて、この時に傷をつけたりしてしまうと
つやつやのかぼちゃにはなりません。
着果した後は軽く新聞紙を被せる等して、日焼けを防ぐのも重要です。
さらに、一般的なかぼちゃは1株に2~3個程度着果させますが、
風土のかぼちゃは1個しか着果させません。
いろいろ見ていますと、2個目、3個目に着果したもので、1個目から日数が
離れれば離れるほど品質は下がるように思いますが、風土は1果採りなので
このあたりは良く分かりません。
ちなみに風土のかぼちゃは、とてもつやつやです。
これらは全て完熟のかぼちゃである証拠です。
では、かぼちゃが完熟の状態にあるとはどういうことでしょうか。
それは、雌花が開花し、受粉してから十分な日数を経過していることです。
具体的には、品種にもよりますが45~50日といったところです。
少しでも早く収穫してしまうと、未熟状態のかぼちゃになってしまうため、
ホクホクしていなかったり、甘みが足りない原因となります。
かぼちゃの開花は1日きりではありませんので、1つ1つかぼちゃを日数管理することは非常に重要です。
7)の果肉の色については、完熟させることももちろん重要ですが、品種によっても違います。
ごく一般的な「えびす」という品種はもともと濃いオレンジ色をしていますが、
風土の作るような栗かぼちゃ系は、鮮やかな黄色をしています。
ここまでの条件が揃うと、種も大きくなります。
健康なかぼちゃからは、健康な種が取れるということですね。
真剣に作ったかぼちゃは、必ずおいしくなることが分かります。
風土の一果採りかぼちゃはホームページから購入することができますので
かぼちゃ好きな方はぜひ一度お試しください。
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nagomu.me / 2009.07.01
1975年10月6日、東京都生まれ高知県育ち。普通科高校~大学法学部からIT関連のセールスを経て2008年10月1日に農業生産法人である株式会社風土を設立。